Uniden EWR200 地震津波警報機の修理とVR故障が発生しても音が出るように改造を行った

全国的に師走なのでまあ我が家でも大掃除の様なものをしてたわけですが、ふと枕元に置いている防災ラジオの動作確認をしたら音が鳴らない。ボリュームをいじくると音が出たり出なかったり、音が出るポイントでしばらく放っておくと音が止まったりと典型的な可変抵抗器の故障が発生していました。

 購入してから5年以上経過しているので、製品寿命としてはそんなもんだろうと言えるのですが修理と改造をする事に、まあ掃除を中断する良い口実ができたと言うのが本音ですが。

ちなみに当該のラジオは下記のユニデン製 EWR200、警報単機能で普段使いは想定されて無い製品ですがそこが良い。普段使いできるラジオだと持ち運んじゃったりするので。二次電池を内蔵していて停電時でも動作してくれる事が頼もしい。

実際に地面が揺れる前に警報で知らせてくれるのは心構えとしてほんとに助かります。

www.uniden.co.jp今回は修理のついでに、今回と同様に可変抵抗器が故障した場合でも警報発生時は音声が出るように改造します。

 

可変抵抗器は故障しやすい部品

可変抵抗器は電気部品の中では壊れやすい部品です、皆様もお手元に音量ボリュームの調子が悪くなった機械等を2、3お持ちではないでしょうか。その原因は構造にあります。

f:id:a2c-ceres:20191230120940j:plain

可変抵抗器の内部、抵抗膜の傷は分解時のもの

通常の回転型の可変抵抗器は同心円上にスリップリングと抵抗膜を配置しそれらを接点でショートする構造となっています。スリップリングと抵抗膜をショートする位置によって抵抗値が変化するわけです。

接点は電気回路に於いて不良が発生しやすい場所で、スイッチやコネクタは接触圧を高めたり、セルフクリーニング機構を入れたりして確実な接触を保つよう工夫されているのですが可変抵抗器にはその方法が使えません。抵抗膜やスリップリングが削れてしまったり、抵抗膜が接点によって押しつぶされて切れてしまったり等の問題が発生するからです、接触圧上げると操作性も重たくなって使いにくくなりますしね。

可変抵抗器の代わりに多接点SW+固定抵抗器やロータリーエンコーダー+電子ボリュームが広く使われるのはこの可変抵抗器の弱点を避ける為です。

故障を前提としてどう設計するか

下図の左側がEWR200を改造する前の可変抵抗器周辺の回路、右側が改造後の回路となります。

f:id:a2c-ceres:20191230133405g:plain

改造前改造後の可変抵抗器周辺回路

さて、左側の製品に採用されていた回路です、ごく普通の音量調整の回路ですね。GND側に2.2kΩの固定抵抗がついていますが、これはボリュームを絞り込んでも微かに音が鳴るように意図されているものと考えます。操作する人が「音が小さい→ボリュームを上げればいい」と直ぐに判断できますから、無音だと電池切れを疑ったりACが接続されてない事を疑ったりと余計な手間がかかります。

この構成のメリットは可変抵抗器が故障した時に「突然大きな音で鳴り出さない」事です、可変抵抗器の接点が故障しても後段のAMPが無入力になるのでスピーカーから大音響がばらまかれる事はおきません。通常の用途では故障時でも使用者を慌てさせるような事態にならない事は設計に於いて重要な事です。

しかし、今回は警報機なわけですからある意味「びっくりさせてほしい」故障時であっても鳴らないより鳴る方が良い、少なくとも私はそう思います。と言うわけで右の回路に改造。

可変抵抗器の定数が250kΩなのは手持ちのを使っただけで特に意味はないです。元がA特性だったものがB特性になっているのも同じ理由。バイパス抵抗は絞り切った時にだいたい元の回路と同じになる程度、との理由で定数を選定。この回路で可変抵抗器が故障した事を想定した実験するとフルボリューム時より少し音量が落ちました、後段の入力インピーダンスが低めだったようです。(面倒なので調べてない)

無理やりの後付けの簡単改造である事も影響してるのですが、この回路の欠点はC特性の可変抵抗器の様に「小音量では細かく調整できず、大音量で調整が効く」と言う人間の聴感と合わない音量変化の傾向が出る事です。これはバイパスする固定抵抗器の抵抗値が小さくなるほど影響が大きくなります。今回の250kΩ B特 可変抵抗と180kΩ固定抵抗の組み合わせではそんなに違和感はありませんでした。A特性の可変抵抗器と組み合わせればキャンセルできるかもしれませんが、普段頻繁に音量調整するものでも無いしコレで良しとします。

f:id:a2c-ceres:20191229022553j:plain

基板改造箇所 基板側は抵抗器つけだたけ、リード線の先に可変抵抗器が接続されている

最後に基板の改造箇所の写真を上げておきますが、長々と書いた割に抵抗器が一本追加されただけです。可変抵抗器はたまたま軸径が同じだったので無改造で付きました。(写真の半田くずは後で気が付いて取り除きました)

最後に

断っておきますが、元の設計が悪いわけでは無いです。警報機とは言え一般家電製品なのですから、他の家電と異なる動作を避ける事は妥当な設計方針と言えます。

ただ、部品が故障した時どのような動作となるか?を意識しておく事は心がけておきたいものです。壊れやすい部品については特に。

最後に、緊急地震速報の警報機は良いものです。数秒から数分の時間差でも身構える事ができるだけで安全性はグっと上がります。どうですか?お宅にも一台。